広域処理破たんの記事。必見「消えた震災がれきの謎」

やはり広域処理は必要なかった!
私たちが前々から言っていたことがやっと正論として報道されるようになりました。

2013年3月11日(月)日経ビジネスより
今回は長いですが、こちらに全文記載させていただきました。
『消えた震災がれきの謎』
石渡 正佳  
東日本大震災の発生から2年がたった。
 筆者は震災直後から6度にわたって東北地方のがれき処理の状況や復興の状況を現地調査し、復興がなかなか進まない現状を見てきた。国や自治体がこれまで明らかにしていた震災がれきの処理状況もはかばかしくない。
 まだ現場の混乱が続いていると思いきや、今年2月22日に環境省が発表した震災がれきの処理進捗率は、岩手県38.8%、宮城県51.1%、福島県30.9%、東北3県合計46.3%で、数字の上では急進展している。宮城県はわずか2カ月程度で20ポイントも進んだことになる。
 何か数字のマジックがあるのではないかと思い、2月末に再び東北を訪問した。
 被災地を回ってみてまず驚いたのは、震災がれきの処理が目に見えて進展していたことだ。岩手県と宮城県の現地を見るかぎり、どの被災地でも震災がれきの撤去はほぼ完了していた。一次仮置き場に十数メートルの高さに積み上げられていた震災がれきもすっかり消えていた。
 環境省発表の数字の上では、未処理の震災がれきがまだ半分残っているはずなのだが、一次仮置き場の震災がれきはどこに行っても見当たらず、二次仮置き場(仮設処理施設)で見られる震災がれきの山も小さかった。震災がれきを満載して走るダンプトラックの数も減ったように感じた。現地では環境省発表の数字以上に処理が進展しているという印象を受けた。
震災がれきは、どこに行ってしまったのか。それを考える前に、これまでのがれき処理の状況を振り返ってみよう。
進んでいなかったはずのがれき処理
 震災発生直後、阪神淡路大震災を超える莫大な量の震災がれきの発生に、国も地方自治体も途方に暮れた。その量は東北地方の中核都市の通常年の一般廃棄物発生量の30年分とも100年分とも報じられた。震災がれきの処理責任がある市町村の対応能力を超えていることは明らかだったため、国直轄処理、県委託処理、広域処理協力など、さまざまな支援措置が講じられた。
 しかし国直轄処理は民主党政権の方針が二転三転して迷走したあげく、鳴り物入りで「がれき処理特別措置法」が成立したものの、国に期待を表明していた宮城県は既に時機を逸していて見送りとなり、福島県の2市町村で3基の焼却炉が建設されるにとどまっている。県委託処理は宮城県の12市町、岩手県の7市町村が参加したものの、用地買収の遅れなどから本格的に立ち上がったのは震災後1年以上過ぎてからだった。広域処理協力は環境省の依頼に応えて東京都をはじめ多数の自治体が受け入れ表明し、当初は義勇軍の様相を呈したものの、放射能拡散懸念から住民に拒絶されて頓挫する例が相次ぎ、被災地での域内処理の体制が整ったため、現在はほぼ手じまいとなっている。
 筆者も震災直後の現地を訪れたとき、莫大な量の震災がれきや津波堆積物を目の当たりにしてあ然とし、広域協力による早期処理(2年間で処理終了)の必要性を訴えた。
 震災1年後の昨年3月の時点では、処理が順調に進捗していたのは仙台市だけだった。宮城県が計画した29基の仮設焼却炉はようやく一部が試験運転を始めた程度で、岩手県では頼みとした太平洋セメント大船渡工場の2基のキルン炉が2011年末に完全復旧したばかりだった。また、両県に対する広域処理協力も限定的なものにとどまっていた。福島県にいたってはほとんど処理は手付かずで、放射能問題から広域処理も頼めなかった。この結果、3県合計の処理進捗率は震災1年後の時点ではまだせいぜい10%だった。環境省は震災がれきの処理終了目標を震災発生から3年後の2014年3月とし、各自治体も同時期を処理終了目標としていたが、目標達成を危ぶむ声が多く聞かれた。
 その後、岩手県では完全稼動した太平洋セメント大船渡工場をセンターとして、二次仮置き場での破砕選別処理(セメント原料化)が本格化した。しかし昨年12月、火災によって処理が休止するというハプニングがあった。
宮城県でも昨年4月以降、仮設焼却炉や破砕選別処理施設が順次稼動を開始し、8月ごろには大半の施設が本格稼働した。しかし、二次廃棄物(処理残渣)を出さない完全リサイクルのセメント工場と違って、宮城県の仮設処理施設は不燃がれきや焼却灰の最終処分先が確保できないという問題を抱えていた。こうしたボトルネックのため、宮城県は昨年12月の県議会で、12市町から受託した震災がれき処理進捗率が30%にとどまっていると報告していた。
 それなのになぜ、震災がれきの処理は年明けから急進展したのか。
震災がれき処理急進展の真相
 実は処理が進展したのではなく、震災がれき発生推計量が下方修正されたのである。
 東北3県37市町村の災害廃棄物発生推計量を、震災直後の2011年6月時点と今年2月時点で比較すると、東北3県合計では2183万tから1628万t(-555万t)、岩手県では446万tから366万t(-80万t)、宮城県では1509万tから1102万t(-407万t)、福島県では228万tから160万t(-68万t)と、3県平均25%も減少している。
 なぜ、このような大幅な下方修正となったのか。第一の理由は、当初の発生推計量は航空写真による被災面積に、これまでの災害の経験を踏まえた係数をかけて割り出したものだったが、その後、撤去実績数値に徐々に置き換えられたのである。昨年中から何度か下方修正されてきたが、年明けの修正は特に大きかった。
 第二の理由は、当初の発生推計量は被災建物の基礎まで除却することを想定していたが、全滅市街地では基礎を除却してしまうと宅地の境界が不明になることや、撤去工期を短縮する観点から、基礎を除却しない現場が増えたからである。戸建て住宅の場合、基礎は住宅全体の3割程度の重さにもなるので、基礎を撤去するかしないかでは震災がれき量は大きく違ってくるのである。
震災がれき発生推計量はかなり下方修正されたが、現地の未処理がれきがもっと少なく見えたということは、これからさらに分母が下方修正される可能性を示唆している。撤去に同意しない被災建物もかなりあること、処理施設ができる前から道路や仮設施設の造成などに有効利用されたコンクリートがれきなどの量が処理量にカウントされていないことなども、震災がれき発生推計量や処理進捗率の誤差となっている。
 震災がれき発生推計量が下方修正された結果、広域処理協力を中止する動きや、処理終了目標(2014年3月)を前倒しする動きが出ている。環境省発表の広域処理協力状況は、2月22日現在、実施済み、実施中、実施決定済みの自治体が1都1府13県65件、受け入れ見込み量約62万t(岩手県分約29万t、宮城県分約33t)、受け入れ済量約25万tとなっている。このほか協力表明済みが1都1県4件、試験処理実施済みが2県2件ある。環境省は広域処理協力を震災がれき処理の切り札として推進していたが、結果的にはいまひとつ広がりを見せず、協力表明済みなどを含めても全国で71件にとどまっている。
 岩手・宮城両県とも、広域処理協力量を含めて処理終了目標を達成する計画なので、広域処理協力はまだ必要だとしている。しかし、これはお願いしておいていまさら要らないとも言えないから、表向き必要と言っているにすぎない。岩手、宮城両県で487万tも発生推計量が下方修正されたのに、数十万t程度の広域処理協力がまだ必要だというのは意味がない。高い運搬費がかかる広域処理は、本音を言えば全面的に休止し、県内処理に切り替えたいのである。すでに両県とも新規の協力要請は見合わせており、宮城県は4月から可燃物の広域処理を中止すると発表している。
がれき処理施設が余ってしまった
 震災がれき発生量が当初推計されたほど多くなく、処理が予定より早く終わる見込みとなったのは良いことだと思うかもしれない。だが、過大な推計に基づいて過大な施設を建設し、過剰な人員を雇用したことは税金のムダ遣いである。
最大の震災がれきが発生した宮城県は、県下の12市町からの震災がれき処理受託量を1107万tと見積もって、県下を4ブロック8処理区に分け、処理をゼネコンなどで構成されるジョイントベンチャーにプロポーザル(企画提案型入札)で発注し、仮設焼却炉29基(焼却能力1日4495t)、破砕・選別施設12カ所を建設した。言葉は悪いが、いわゆる丸投げである。ところが、今年1月の見直しでは受託処理量が582万tに下方修正され、減少率は47%にもなってしまった。つまり、単純計算で仮設処理施設の能力は半分でよく、予算も半分で足りたことになるのである。
 国はこれまでに1兆821億円の震災廃棄物処理事業費を計上している。震災がれき発生量が下方修正されても、予算は減額されない。すでに過大推計に基づいて施設を建設してしまったからである。筆者も震災直後に、災害廃棄物処理事業費は最大1兆円と予測したことがあるので呵責を感じる。
現場では過大施設の別の問題が生じている。焼却炉は一定以上の廃棄物がないと定常運転ができず、休止する可能性があるのだ。実際、宮城県では焼却する廃棄物が不足する処理区が出ており、他地区から廃棄物を融通したり、震災がれき以外も処理しようという案も出ている。また早く処理が終わってしまうと、雇用の問題が出るので、予定通りの処理期間にするため処理をペースダウンせよという指示が出たとも聞く。声高には言えないことであるが、これが消えた震災がれきの真相である。
 その一方、道路や宅地の嵩上げ工事のため、震災がれきや津波堆積物から再生したグリ(砕石)や土砂は引く手あまたの人気商品となっている。再生資材の品薄は、今後の復興のスケジュールにも影響を与える問題であり、国土交通省は全国の公共事業から発生する再生資材や残土を東北地方へと海上運搬する検討に入っている。莫大な震災がれきを前にして茫然自失していた状況から一転して、廃棄物が足らない事態となっているのである。
 それにしても仮設処理施設を着工する前に震災がれきの発生量を見直すチャンスはなかったのだろうか。需要の変化を検証せず、オーバースペックの無用な施設を既定方針どおりに建設して税金をムダ遣いしたというのは、どこかで聞いた話である。一度計上した予算は減額せず、ムダとわかっても予算を使い切るのが仕事だと勘違いしている職員は国にも自治体にも少なくない。予算をチェックすべき財務官僚も、一度付けた予算は減額しようとしない。それどころか、予算を余らせることを厳しくとがめる。予算を減額補正したり、不用額や事故繰越を発生させたりすることは、予算査定が甘かったことになり、財務省の無謬(むびゅう)主義に傷がつくからだ。この無謬主義という幻想を守るために、どれほどの予算がムダになったことだろう。
 災害廃棄物処理事業と同じような過大見積もりによる復興予算の暴走は、今後の復興工事でも起こるに違いない。それを事前にチェックする機能は行政にはないのである。

以 上

【がれき広域処理問題】富山でも住民監査請求

3月4日、木下黄太さん、山本太郎さん、青木泰さんらを中心に富山でがれき阻止の大集会が開催されました。
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=5343906166015816671#editor/target=post;postID=2062651177005769568

現在、北九州市、宮城、岩手に続き、富山からも住民監査請求が出されています。
 
がれき広域処理の終息まであと一息。
全国で力を合わせて一日も早く、税金の無駄遣いであるがれき広域処理を終わらせ、本当の復興支援をしましょう。




3月4日 富山報告    
20130306  環境ジャーナリスト 青木泰
1) 富山 住民監査請求 (県128名、市100名)
3.3ガレキ阻止大会、交流会の後、住民監査請求の必要性を学習し、その後参加市民に請求署名をお願いした。池多の地元を中心にした請求署名と合わせて富山県に128名、富山市には100名の請求人署名で3月4日午後提出した。
提出に先立ち、県庁隣の県民センターで13時から記者会見を行った。記者会見の様子はチューリップTVでも報道され、翌日(3月5日)添付したように富山県の主要各紙が報道した。
記者会見には池多の未来を守る会から中山郁子代表を含め3名、そして富山市民4名、排出側の岩手県から「子供たちの放射線被曝低減化を推進する盛岡の会」の中山一絵世話人、3.26ネットから土居保弘医師、青木が参加して行った。
3.3ガレキ阻止大会&全国交流会に続く連日の記者会見だったが、報道された内容は、要点をまとめた正確な報道が目立った。
「住民側は、広域処理が必要とされる岩手県内のがれきの量が下方修正された上、同県が県内で処理できる量が示されていないなどと指摘。『必要性が示されていない広域処理は財政に欠損を与える』などと主張している」(読売)
「がれきの広域処理が終息する中で、富山県での受け入れが必要な理由が不明。」「膨大な経費の無駄遣いが行われ、自治体に損害を与える」(北日本)
「請求では、広域処理を必要とするがれき量は当初より大幅に減少したと指摘。県内で処理するがれき量の検証が不十分」(北陸中日)
「県は岩手県山田町の木くずを中心とした可燃物のがれきを引き受ける方針だったが、…同町の木くずは、今月末までに・・処理されてしまう予定と言う。住民たちは『存在しないがれきを受け入れることができない』と主張している。」(毎日)
「広域処理は終息に向かっており無駄な支出になる」(朝日)
実際 住民監査請求書では、次の2点が広域処理の要件として法令的にも問題になることを示し、
被災自治体で処理した上で、広域処理が必要であることを示す
自治体間のがれき処理に対して交付金(=補助金)が支給されるため、その処理が補助金適正化法に基づき、適法かつ合理的に行われているか。
排出側の岩手県が、それらの点で、次の問題点を抱かえていた点を書証を付けて示していた。
埼玉県、静岡県では、数か月前に測量したがれきの量が10分の1から7分の1にも減っていた。ミスと言うレベルでなく、明らかな間違いである。ところが今回富山県や大阪、秋田に広域化する数量は、その間違った業者による測定結果で算定している。
  事故を起こした給湯器や自動車の場合、販売済みの同製品は、リコールに応じ安全性を担保するのが社会常識である。)ところが10倍も計測を間違った業者の測定結果を今もそのまま使い、それに基づきがれきの広域化の必要量を算定している。
静岡県は、山田町から木くずを持ち込み、県内各市で焼却処理する予定が「木くずが無くなった」と言うことでこの3月に終息する。富山県も同じ山田町から「木くずを主とする可燃物」を持ち込む予定だが、木くずがない以上「木くずを主とする可燃物」の持ち込みは不可能だ。
岩手県達増知事自身、岩手県のがれきの処理量について「比重等の関係があり精査中」と答えている。精査中では、がれきの広域化必要量は計算できず、計算できないのになぜ、広域化を進めようとするのか疑問だ。
法律的に禁止されている再々委託を含んでいる。
等々。
ここにきてようやくメディアが、絆キャンペーの呪縛から解き放たれ、絆キャンペーンの陰で環境省ががれきの広域化に託けて、復興資金の無駄遣いを行う酷い実態にメスを入れつつあるように見える。今後の報道に期待し、まずは、富山へのがれきの持ち込みへの疑問の声を取り上げてくれた今回の報道に感謝したい。
2) 盛岡市の市民団体が、告訴取り下げの要望書を提出
岩手県での住民監査請求の代表者の中山一絵さんは、所属する「子供たちの放射線被ばく低減化を推進する盛岡の会」ら5市民団体の「告訴取り下げ要望書」を富山地区広域圏組合、管理者森富山市市長に3月4日提出した。
この件についても、3紙(北陸中日、毎日、朝日)で大きく取り上げられた。
中山さんの要望書提出は、住民監査請求の記者会見前の12時に行われた。要望書は担当課を通し、森管理者(富山市長)に提出され、富山のお母さん達も同行した。中山一絵さんらが市庁舎に行くと、多数の警備員が待ち構え同行者が聞くとどうやら「池多の未来の会」の中山郁子さんが告訴取り下げを求めて抗議に来ると伝わり、備えたという。同じ「中山」で勘違いしたらしい。
中山一絵さんは、記者の取材に答えて次のように答えている。
「子どもたちの行く末を案じるお母さんたちの抗議行動は、母親として当然で、告訴は行政の責任、義務を放棄した恥ずべき行為」「多くの岩手県民は岩手のがれきが原因で、富山の母親が、非道な仕打ちを受けていることに心を痛めている。」(毎日)
「がれき問題で住民が告訴されるのは残念。一刻も早く取り下げてほしい。」(北陸中日)
「告訴された皆さんは、放射能汚染を危惧し、子供の未来を守ろうとしたもの」(朝日)
住民監査によって、今回のがれきの受け入れが、被災地を考えた支援策と言うよりは、環境省と関連自治体によるよこしまな利権の疑問が浮かび上がる中で、がれきの受け入れ反対の行動への告訴の不当性は、中山一絵さんらの要請文によってより明らかになった。
3)皆様お世話様でした。
3月3日のガレキ阻止大会、全国交流会、そして3月4日の告訴取り下げ要請文提出、そして住民監査請求連続した行動でしたが、緊急の準備体制の中で集会は成功裏に終わりました。お世話様でした。また多くの皆さんの協力でメディアでも記事になり、一定の影響を残せたようです。
告訴を取り下げさせ、起訴・弾圧を許さず、がれきの広域化そのもの完全に終息させるため、皆さん、共に、もう一段のご支援、ご協力をお願いします。

【北九州がれき】宮城県民から宮城県への監査請求結果:ご報告と見解

監査請求をした宮城市民から、結果についての見解が出ました。


私達の住民監査請求に対する「監査結果」の内容について
 

 平成241129日に行った「がれき広域処理」に関する違法な公金支出に関する「監査請求」に対する「監査結果」について、私達請求者は、以下のように考えます。

 

 監査委員は、私達が行った「監査請求」に対する判断として、「住民監査請求については、件に損害又は損失が発生し得る財務会計行為であることが用件となっている」とし、「今回の災害廃棄物処理に関する財源は、・・・全額が国の財政措置を受けた市町からの支出であるから、県に損害や損失が発生することはない」と判断し、却下としました。

 

しかし私達請求人は、国の補助金を受ける以上、当然補助金適正化法等の適用を受け、たとえ市町からの申請段階で査定がなされていたとしても、不当・不法なものに対する支給はありえず、返還請求がなされ、最終的にはその原因となった宮城県や広域処理受入れ自治体の負担となる、と指摘しました。

 

このような結果が生じないためには、今回の「広域処理」が不要不急のものではなく、どうしても必要なものであったことが前提となります。この点について、すなわちがれきの総量が大幅に減っているにもかかわらず広域処理が行われたことについて「監査結果」は、

1に、「放射能への懸念が大きく取り上げられるようになり、鹿島JVが当初計画していた受け入れ側の地方公共団体及び搬出予定先との調整に困難が生じた」としています。これについては、2月26日の「陳述」の場で「東日本大震災に係わる災害廃棄物を処理する上での廃棄物処理法の取り扱いについて」という県の文書を挙げ、委託を受けた業者が県外に廃棄物を搬出・処理する場合、当該自治体へ通知を行えば許可は必要ない、とされているゆえ、受け入れ先自治体による「受入れは許可できない」とする文書があって始めてそのような説明が成り立つ、そのような文書が存在するか監査委員は精査する必要がある、と監査委員に述べましたが、この点についてはまったく言及がなく、無視されています。したがって、いかなる自治体から受入れ拒否の意思表示があり、それぞれにおいてどの程度の数量のがれきが処理不可能になったのか、今回の「監査結果」においてその実態はまったく不明のままです。

2廃棄物処理を平成26年3月までに行うために「広域処理」が必要であった、と主張していますが、この点についても、補助金の「交付要綱」等に期限が明示されておらず、延長の場合の手続きすら規定されている、と「陳述」の場で述べたにもかかわらず、「監査結果」は、環境省のマスタープランに「概ね3年以内」とかかれていることを根拠に、「国から市町への財政措置については、国の国庫補助金交付要綱には財政措置の期限は明示されていないものの、国の補助金等は計画に定められた期間に措置されるのが通例であるので、今回の災害廃棄物処理事業費国庫補助金等も環境省マスタープランに定められた期間内に限定して措置されると理解するのが相当と考えられる」としています。今回の「広域処理」は、石巻地区の焼却施設の稼働率を上げることによっても不要となりえますが、それを行わなかったとしても、一ヶ月処理期間を延長するだけで、北九州で行われた広域処理分は充分処理できます。広域処理を行わないことによって数年単位で処理期間が伸びるのであれば、被災地の復興の妨げとなりえますが、今回の場合、あえて高額の輸送費等をかけて広域処理を行う理由とはなりません。

第3に、「二重契約」の件についても、「形式のおいても内容においても明確に分離されている」としながら、他方で、「上記の契約が二重契約か否かは別として、そもそも二重契約であっても、双方の契約内容が両立できるものであれば法的に問題はない。仮に並存が難しいないようであった場合でも、契約の中に調整を行う条項が設けられ、それにしたがって調整を行った結果、債務不履行、二重の支払い等が生じない状態になれば法的問題はない。県と鹿島JVとの間の契約に関しては、北九州市への災害廃棄物の搬出は当初契約には存在しなかった事項であったことから、両者間の協議で設計図書変更に同意し、その変更に伴う業務委託料の変更契約を遅滞なく締結していると認められ、県と北九州市との契約は違法ではない」としています。今回の件が、いかに「広域処理ありき」で進められたかを証明する文言であると考えます。

 

今回の「監査結果」は、全体で24頁に及ぶ大部なものであり、部分的には私達監査請求人の主張を敷衍するものでありますが、今回の宮城県の行為が不当・不法なものでないことを証明するに際しては、最も肝心なことに答えていない、と言わざるを得ません。したがって私達は、今回の「監査結果」は不当なものと判断します。今回の問題に関しては、仙台市民オンブズマンも監査請求を行っていますので、その結果も見て、今後の対応を検討したいと思います。

 

 

                             監査請求人

                              高橋 良

                              森田眞理

2月12日、がれきに反対する全国交流会のご報告

全国交流集会のご報告と3月の環境省交渉に向けての環境省との事前折衝(2月6日)の報告です。
1)全国交流集会の報告
がれきの最終決着を目指す全国交流集会は、21213時から17時半まで行われ、交流会Ⅰ部(基調報告と全国からの報告)、記者会見、交流会Ⅱ(追加報告と提案、議論)を行い、メディア関係者や議会関係者を含め、全体通じて約50名弱の皆さんが参加しました。(東京新聞で報道されました。添付PDF参照)
集会は、がれきの広域化が破たんしつつあることを全国に宣言することが第一の目的で、開催しました。広域化の中心を占めていた宮城県発がこの3月末をもって、終息する発表がありました。岩手県発も中心の2県(埼玉県、静岡県)で終息する発表がありました。
いずれも再調査の結果、がれきの広域化が必要なくなったというのが、終息の理由です。しかしその内容は、がれきの量が半減したり、10分の1になった。がれきの山の中は土の山があったという馬鹿馬鹿しい発表内容です。その点を内外に問いかける交流会でした。
がれきの広域化政策は、明らかに破たんを示しているのに、大メディアはこの点を全国ニュースとして流していません。国の主導の下で行われたがれきの広域化政策は、全国メディアで何度も1面トップで報道されてきました。
ところが広域化自体が終息する状況になっても、北九州市や宮城県、そして静岡県などの地方では、終息がローカルニュースで大きく報道されても、全国面では、そのことを取り上げ報道していません。
大きな原因は、環境省が事ここまで来ながら、がれきの広域化政策が破たんしたことを認め、白旗を上げていないからですが、環境省の対応は、先日の東京新聞のように環境省を批判する報道を行っていない他のメディアの報道姿勢にも問題があります。
たとえて言うと戦争を始める時には、勇ましく開戦を報道しながら、終戦の時にはこれを報道しないというメディアの対応です。
その結果、がれき問題が被災地で必要性がなくなったと終息しつつあるにもかかわらず、大阪や富山でがれきの受け入れが開始されたり、開始されようとしているのです。
戦争の終戦を報じないため、それを知らず局地戦を続行するようなものです。
地方自治体の首長は、選挙によって選ばれる政治家です。政治家は、世論の動向に敏感です。全国広域化が終息しつつあることが、大阪や富山の人たちが分かるように大々的に報道されていれば、この2月から大阪や富山で受け入れが始まるということは無かったでしょう。
メディアの果たす役割が大と言わねばならないと思います。
大阪、富山、秋田には、岩手県発のがれきが運ばれてくる予定ですが、富山へは、山田町の「木くずを主にした可燃物」、秋田へは、同様のがれきが野田村から運ばれる予定です。静岡県は山田町と大槌町から木くずを、埼玉県は、その野田村から、木くずを運ぶ予定だったのが大幅に減ったため終息させているのです。
理屈から言えば、富山や秋田には運んで来る木くずはなく、木くずを主にした可燃物は、木くずがない以上持ち込むことが不可能です。大阪へは、宮古から持ってくることになっていますが、宮古を含め岩手県全域でがれき量の再調査中であり、広域化の必要性は、データに基づき立証されていません。
実際岩手県発のがれきの見積もり量は、この数か月の間で、10分の1になったり(埼玉県)7分の1になって(静岡県)います。
大阪を含め今後広域化を予定しているがれきの実際の量はどのようになっているのかを岩手県の環境生活部廃棄物特別室に尋ねたところ「現在精査中」と言うことだったのです。
大本営である環境省が白旗を上げないため、「戦争全体が終息しつつあるのに」新たに開始するところがあるというばかばかしいことが起こりつつあるのです。
がれきの広域化は、輸送費が倍以上かかり、究極の無駄遣いであることは、隠せないことであり、税金の無駄遣いに「ペンの力で追及できない」メディアは、もはや権力を監視するという公的役割を無くした権力の補完物と言ってよいでしょう。
212日の集会は、環境省に広域化政策の破たんを認めさせ、今も開始しようとしている大阪、富山、秋田を止めさせる。そのためにメディアも働いてほしいという集会でした。(皆さんも各新聞に読者の声としてその事実報道を全国報道として伝えないのかを尋ねてください。)
 私たち一人一人の行動が、もう少しで終焉させるところまで追い込んできました。
集会では、鮫川村も住民の皆さんの力で村長が諦めるところまで追い込みつつあるという報告がありました。がれきの場合は処理の主体は、市町村や自治体であり、指定廃棄物の場合、実施主体は環境省であるため、自治体が反対しているからといって、一筋縄ではいかないと思いますが、もう一歩のところに来ています。
集会には岐阜環境医学研究所所長の松井英介医師も特別参加され、がれき全国広域化の背景としてIAEAの存在があり、原発事故の影響を小さく見せ、今後も世界の原発建設の計画に影響がないようにする意図があったのではという指摘をされました。
 3月の環境省交渉で、これまでのがれきや汚染廃棄物の焼却中心の処理を見直しさせて行きましょう。

必見。3:10さよなら原発北九州集会で広瀬隆さん、山本太郎さん、がれき問題に怒りの爆弾発言!


http://iwj.co.jp/wj/open/archives/65788 
4/5   1分30秒から。

市議会ががれき受入れを決定したのは昨年3月12日。
事前に、北九州市議会が全会派一致でがれき受入れしたことを広瀬さんにお話したところ
「バカなことを!太郎君、これは絶対に言わなきゃだめだ!」と言うことで、あのような流れでなりました。

全会派一致でがれき受け入れをした北九州市。
さよなら原発実行委員会内部から、受け入れに賛成した政党に気を遣って、「事前にがれきのことを話すなと根回しできなかったのか」との声も出ています。

広瀬さんも太郎さんも信念を持って行動されています。
そんなことをおふたりに言うのは失礼ですし、ましてや「話すな」と頼まれて「わかりました」とおっしゃる方々ではありません。
不必要ながれき広域処理は、税金の無駄遣いの問題と、内部被ばくの問題を含みます。
今年の3月末、北九州でがれきが止まります。

その理由は「がれきは現地で処理できるから」。
そんなの最初からわかっていて、詳細なデータと一緒に市議会に対してずっと言い続けてきましたが、耳を傾けてはいただけませんでした。


現在の避難者数は31万人。福島県から県内外の他地域に避難している人は16万人。
九州は人の受入れ、そして汚染させれていない食物の永続的供給を担います。

さよなら原発北九州集会では、赤い帽子をかぶった公安がずらりと並んでいました。
どこの集会でもそんな感じだったのでしょうか?

九州ひまわりプロジェクトでひとつ出店テントを確保していたのですが、公安から「今日は、村上さとこさん(九州ひまわりプロジェクト代表)は来てますか?」と尋ねられました。
北九州市にがれき問題が持ち上がってから、かれこれ一年半。
公安とは長いお付き合いになりそうです。
全国各地でがれきにまつわる不当逮捕や不当告訴が続いています。
あの道はいつか来た道・・・。国家権力は恐ろしいですね。

北九州市では、「がれきの風評被害対策」として、今もツイッターやブログのネット監視をしています。そこに年間1200万の税金が投じられています。
このことは、東京新聞などで大きく報道されました。
この監視は誰のためですか?市民のためになりますか?