10月5日締切の環境省パブコメを出しましょう。またも、こっそり改悪が行われ、最終処分場が核のゴミ捨て場に。青木泰さんの解説です。

まずは、環境省のお知らせから

放射性物質汚染対処特措法施行規則第二十八条、第三十条及び第三十一条の一部を改正する省令案に対する意見の募集(パブリックコメント)について(お知らせ)


 環境省では、放射性物質汚染対処特措法施行後に得られた知見を踏まえ、同法施行規則第28条、第30条及び第31条の一部を改正する省令案をとりまとめました。本案について広く国民の皆様からの御意見を募集するため、平成24年9月4日(火)~10月5日(金)までの間、パブリックコメントを実施いたします。


1.背景
 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)第23条において、廃棄物処理法が適用される廃棄物であって、事故由来放射性物質により汚染され、又はそのおそれがあるものを特定一般廃棄物・特定産業廃棄物と定義しています。(8,000Bq/kg以下を想定。)
 特定一般廃棄物・特定産業廃棄物の処理には、放射性物質汚染対処特措法第23条の規定により、廃棄物処理法に基づく処理基準のほか、特別処理基準が適用され、特定一般廃棄物・特定産業廃棄物の処理を行う中間処理施設・最終処分場については、放射性物質汚染対処特措法第24条の規定により、廃棄物処理法に基づく維持管理基準のほか、特別維持管理基準が適用されます。
 特定一般廃棄物・特定産業廃棄物の要件については、施行規則制定当初、廃棄物の事故由来放射性物質の放射能濃度等のデータに限りがあったため、安全側に立って広範な地域を対象としています。
 今般、放射性物質汚染対処特措法完全施行後に得られた追加的な知見に基づき、対象地域等を見直し、必要な省令改正を行うこととしています。

2.意見募集(パブリックコメント)について

(1)意見募集対象

 添付資料:放射性物質汚染対処特措法施行規則第二十八条、第三十条及び第三十一条の一部を改正する省令案の概要
 ※ 添付資料の参考1~4は意見募集対象ではありませんので、ご注意ください。

(2)意見の募集期間

平成24年9月4日(火)~平成24年10月5日(金)
※郵送の場合は、平成24年10月5日(金)必着

(3)意見の提出方法

 御意見は、案件名を、「放射性物質汚染対処特措法施行規則第二十八条、第三十条及び第三十一条の一部を改正する省令案に対する意見」としたうえ、下記[1]~[4]までを必ず御記入の上、電子メール・ファクシミリ・郵送のいずれかの方法で、下記[5]の提出先まで御提出ください。
[1]
氏名(企業・団体の場合は、企業・団体名、部署名及び担当者名)
[2]
住所
[3]
電話番号又はメールアドレス
[4]
御意見(意見ごとに必ず下記事項を記載)
・意見の該当箇所(ページ、行番号等)
・意見の要約(意見は簡潔に記載)
・意見及び理由(意見の根拠となる出典等があれば添付又は併記)
[5]
提出先
・郵送:
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課
(〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2)
・FAX:
03-3581-3505
・電子メール:
houshasen-tokusohou2@env.go.jp

(4)注意事項

  • 御意見は、日本語で御提出下さい。
  • 電話での御意見は受け付けておりません。
  • 御意見に対する個別の回答はいたしかねますので、あらかじめ御了承ください。
  • 頂いた御意見については、意見提出者名、住所、電話番号、FAX番号及び電子メールアドレスを除き公開する場合があることを御承知おきください。
  • 締切日までに到着しなかったもの、上記意見の提出方法に沿わない形で提出されたもの及び下記に該当する内容については無効といたします。
    ・個人や特定の団体を誹謗中傷するような内容
    ・個人や特定の団体の財産及びプライバシーを侵害する内容
    ・個人や特定の団体の著作権を侵害する内容
    ・法律に反する意見、公序良俗に反する行為及び犯罪的な行為に結びつく内容
    ・営業活動等営利を目的とした内容

3.閲覧又は入手の方法

(1)
環境省ホームページのパブリックコメント欄
http://www.env.go.jp/info/iken.html)を参照
(2)
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課にて配布
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館26階)
(3)
郵送による入手
 郵送により入手を希望する場合は、返送先を宛名に明記し200円切手を貼付した返信用封筒(A4版が入るもの)を同封し、意見提出先まで送付してください。

4.問い合わせ先

TEL:03-3581-3351(内線7517)
FAX:03-3581-3505
電子メール:houshasen-tokusohou2@env.go.jp
担当:佐川

次に以上の、大変わかりにくいパブコメについての解説です。

 

今回の“改正”(=改悪)の要点          

                  環境ジャーナリスト 青木泰

 

1)放射性物質汚染対処特措法によるこれまでの規制

放射性物質汚染対処特措法では、8000Bq/kg以上を越える廃棄物を、指定廃棄物と定義し、指定廃棄物として定められた処理によって、処理するとされてきた。

それ以下ではあるが、事故由来放射性物質(セシウム134・137)が、6400Bq/kgを越える廃棄物が過去に排出された地域(岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、東京、新潟)(=とりあえず汚染地域と呼ぶ)で排出される廃棄物については、「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」として取り扱うようにしてきた。

 この第28条、第30条の規定では、汚泥(脱水汚泥、乾燥汚泥)や焼却灰、ばいじんの種類に分けて、汚染地域を指定し、そこで発生したものは、「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」として取り扱うようにしてきた。 「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」となっているものは、廃棄物処理法に基づく「維持管理基準」だけでなく「特別維持管理基準」が適用されてきた。

重要2)今回の“改正”の内容

今回の“改正”は、この間の測定でこの6400Bq/kgを超える排出が見つからなかった廃棄物と、地域に関してこの「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」の適用から外し、「特別維持管理基準」を適用しなくても良いように、管理基準を緩めるものである。

 今回の“改正”によって、水道施設、下水道施設、ごみの焼却炉から排出される廃棄物、「脱水汚泥」「乾燥汚泥」「焼却灰その他の燃え殻」は、基本的に「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」から外れ、8000Bq/kg以下であれば、通常通りに焼却、埋め立てして良いことになる。

ただし廃棄物で言えば、天日乾燥した「乾燥汚泥」、水道施設、下水道施設、ごみの焼却炉で発生するばいじんについては、ほぼこれまで通り汚染地域で規制される。

また福島県の場合、ほぼ従来通りの「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」として取り扱われる。またばいじんも、同様に「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」として取り扱われる。

 
3)「特別維持管理基準」が、適用されなくなることの意味。

この「特別維持管理基準」は、埋め立て処分する際に、50cmの厚さの土壌で、3mの厚さの埋め立て廃棄物を挟んで埋め立てることが必要としている。また焼却の場合、

バグヒィルターの設置を管理基準としている。焼却については、ダイオキシン規制があるため、バグヒィルターはほとんど設置されている。(この件については、環境省の担当官の話し。要確認)

そこで、「特別維持管理基準」は、埋め立て処分するに際して、実際の影響を持っていたといえる。

 たとえば秋田県の大館市にある民間の埋め立て処分場の場合、311以降柏市や流山市などの市町村の焼却施設から排出される焼却灰を8000Bq/kg以下だからと受け入れ、埋め立て処分していた。その後市民や周辺住民の抗議があり、受け入れをストップした。

50年は持つといわれるその広大な処分場の見学をしたとき、ストップはしたが、すでに埋め立てられている場所は、粘土質の土壌で、サンドイッチして埋め立てられていたため、遠目にも、そのエリアは、判別できる状態だった。

つまり千葉県から排出される、焼却灰については、特定一般廃棄物・特定産業廃棄物となるため、「特別維持管理基準」が適用され、埋め立て処分するときにサンドイッチ状にしてきたのである。

改正されれば、今後サンドイッチ状にしなくて良いことになる。

その場合、当然埋め立て処分された放射能汚染物が降った雨に溶け出し、浸出水処理装置をすり抜け(現行の処理装置は放射能汚染対策を考えていない)、周辺環境に影響を与える恐れが出る。

 4)“改正”の問題点。

この法律の「特別維持管理基準」は、バグフィルターを設置すれば焼却してよいとなっていて、それ自体が尻抜け規制であるが、埋め立て処分については、かなり手間取り、傾斜地に作られている市町村の埋め立て処分場では、実質埋め立てられず、放射能汚染物の埋め立てという意味では、規制効果をもっていたといえる。

今回それを取り払い8000Bq/kg以下のものは市町村の埋め立て処分場に埋め立ててよいとするものであり新潟県の泉田知事が言うように市町村の埋めてて処分場を核の廃棄場にする改正であるといえる。

東日本を中心にした汚染地で、また汚染廃棄物の受け入れを行っている民間の処分場で、他のものと同様に、埋め立て処分されることになる。これまでの場合、後世代で掘り返し、対処することができたのが、対処もできなくなる。

 今回の“改正”は、これまで「特定一般廃棄物、特定産業廃棄物」として取り扱われていたものも、6400Bq/kgを超えることが無くなったということが、理由とされている。しかし問題を箇条書きにすると、

          311前は、放射性物質の処理基準は、100Bq/kgだったのであり、1年以上も経過し、緊急時の言い訳は現状で通用しない。これまでは放射性廃棄物としての管理基準で処理されていたものを、根拠なく80倍に緩めたのが、放射性物質汚染対処特措法である。その8000Bq/kgにした問題、埋め立て場からの浸出水の影響、河川や井戸などへの影響などをなんら検討することなく、現状の汚泥、焼却灰などの放射能汚染度の測定だけで、このような“改定”を行うのは大問題である。

          たとえば、現在の市町村や民間処分場は、放射性物質汚染対処特措法ができる前に作ったものであり、そもそもそこに埋め立て処分される廃棄物は、放射性物質や放射能汚染物を含まないことを前提に、住民などの了解を得たものである。それを311以降、放射線や内部被曝の専門家による基本論議を抜きに、根拠なく8000Bq/kgを設定し、今回は埋めたて規制も外す。環境省による暴挙というほかはない。

          今回規制から外す地域に、宮城、岩手も含まれており、広域化の下で、運ばれた廃棄物を焼却した後の焼却灰や燃え殻は、この“改正”でサンドイッチせず、埋め立て処分してよいとなる。広域化のネックとなっていた埋め立て処分の関門を取り払うことになる。

          広域化自体、全国的に見たとき現状ほぼ壊滅状態になっているが、今後問題にしなければならない、汚染地域での焼却や埋め立て問題に、環境省側が先に手を討った法令改定か?

          汚泥や焼却灰が、始末できなくなったのは、東電と国の責任である。汚染物の集中管理の原則を忘れ、汚染物の処理指針を緩め、地方自治体に責任を取らせる法令改正である。

繰り返しになるが、低線量の内部被爆の専門家、住民市民、自治体、業者、そうした代表がいない災害廃棄物安全評価検討会での検討は、仕切り直しを。


大変なことですみんなでパブコメを送りましょう
まだ間に合います以下に記入例を示します



「放射性物質汚染対処特措法施行規則第二十八条、第三十条及び第三十一条の一部を改正する省令案に対する意見」

 

[] 氏名   
2] 住所  
3] 電話番号 
4] 意見

 1頁 「1.①」について

 (意見の要約)8000Bq/kgという基準値そのものを認めがたい。

 (理由)原子炉等規制法の改正によってあらたに設けられたクリアランスレベルの数値は100Bq/kg(この値自身、当時の議論においては識者からも高すぎるとの指摘や意見が出されており、10分の110Bq/kgにすべきとの代案も出されていた)であって、この値を超える廃棄物は引き続き放射性廃棄物として、電力会社が厳しく管理をしなければならない基準とされていたものであった。それが今回の事故によって十分に納得のゆく根拠が示されることなく、8000Bq/kgに大幅に緩和されたものである。

 
1頁 「1.②」について

(意見)特別処理基準・特別維持管理基準そのものを認めがたい

(理由)この基準を決めるに当たっての手続きが適正手続きを経ずに決定されたものである。それは、「災害廃棄物安全評価検討会」というその設置に当たって法律(例えば環境基本法等)に根拠を有しない単なる大臣か局長の一私的諮問機関に過ぎない有識者会議で、しかも一部の環境省にとって都合の良い有識者のみで構成し、さらには非公開という密室裏で、真っ当な意見を述べる有識者に対しては環境省のトップが発言を抑え込むという、極めて非民主的な方法で十分な検討期間も確保されずに決定されたものである。そのパブリックコメントの期間も過去に例のない極めて短時間のうちに締め切って、国民の意見提出の機会を不当に制限したうえで決定されたものであって、到底認めることはできない。

(根拠)杉本裕明著『環境省の大罪』(PHP研究所)第2

 

1頁 「1.③」について

(意見)「8000Bq/kg以下の廃棄物については、・・・周辺住民、作業者のいずれにとっても安全に処理することが可能であると考えられる」の箇所については、そのことを立証できるだけの十分な科学的根拠がないといってよい。

(理由)廃棄物処理の作業工程にしたがってシミュレーションを行ってはいるが、「はじめに結論ありき」の前提で、単なる都合のよい仮定を設けて恣意的な推論のもとにシミュレーションが行われたものであって、広く専門家による検証作業を経て決定されたものではない。

   したがって、後段の「より一層の安全確保を図ろうとするものである。」との記述については、何らの根拠のない独断的・恣意的な結論を強引に導き出したもの以外の何物でもない。

 
2頁 「1.④」について

(意見)これまで実施されてきた放射能濃度に関する調査結果そのものが放射能の測定方法や測定頻度等の面から第三者による十分な検証過程を経たものではないことと、「安全側に立って」決定されたと結論付けるだけの十分なデータが積み上げられ、その結果をもとに専門家集団によって十分な検証が行われたものとは到底認めがたい。

(根拠)実証的なデータの公表がされていない。

 

2頁 「1.⑤」について

(意見)「追加的な知見」なるものが科学的な検証に耐えられるものとはいえないことと、したがって、対象地域等の見直しに着手するにはそれこそ「規制の合理化を図る」ことにつながるとは認めがたい。

(根拠)「追加的な知見」を提示するには根拠データ等が極めて不足している。

 

2頁 「2.①」について

(意見)上記に述べた調査方法や調査頻度等の不足から、「要件の見直しを行う」段階には至っていない。したがって、「要件の見直し」は時期尚早で認めがたい。

(根拠)科学的な評価と判断を加えるにはデータ数があまりにも少なすぎる。

 

2頁 「2.②」について

(意見)6400Bq/kgという評価基準そのものを認めがたい。したがって、「要件から除外する」ことは認めがたい。

(根拠)上記に縷々説明を繰り返してきていることにつきる。

 

3頁 「2.③」について

(意見)この箇所については、まさに科学的に的確な評価・判断を加えるうえで現段階では知見の不足を認めていることであり、「慎重な対処が必要であると考えられる」とは妥当な判断と認められる。このことは、今回の見直しの全般について言えることである。

 

4頁 「3.①」について

(意見)水道施設等に係る要件の見直しについて及び廃稲わら等に係る要件の見直しについても、特措法の完全施行日を前提にすることなく、原発爆発事故以降に放射性物質によって汚染されたこれらの廃棄物の実態把握調査結果をもとにその評価と判断を行うべきである。

 

4頁 「3.②」について

(意見)「適用を除外する改正を行う」には十分な知見が得られているとは考えられないことから、この改正は当分の間見合わせるべきである。

(根拠)「溶出率が極めて低い」との根拠データがその測定方法や溶出方法等に関する信頼性の面から、見直しを行うに足る十分なデータが得られているとは認めがたい。

 

4頁 「4.今後の予定」について

(意見)以上に述べてきたことから、「平成2410月頃を目途に公布し、速やかに施行する予定」であることの白紙撤回を求める。