6月21日(木)北九州市民の記者会見内容



北九州市民は、市が主催する瓦礫受入れ検討会(自治体が独自に受入れ可否を決めるのに環境省の役人がメンバー)に異議を唱え、市民による「市民検討会」を立ち上げた。
6月10日、第二回市民検討会で「宮城県石巻市のがれきは本当にあるのか?」という重大な疑惑が浮上。
市民は、急きょ、調査団を結成。
継続調査にあたっており、記者会見では、その驚きの調査結果を発表した。

斎藤弁護士は現在宮城県に出向き、現地調査を続行中。


<調査内容>

 北九州に運ばれる予定のがれきは、宮城県石巻市の可燃性のがれき3万9,500トンである。しかし宮城県は、5月21日がれきの推定量の見直しを行い、約430万トン下方修正し、石巻市も約170万トン下方修正した。

 そこで石巻市に持ってくるがれきが「現状で存在するのか?」について調査した。

その結果、石巻市のがれきは、現地処理の行方が決まっていたこと。もし行方が決まっているがれきを北九州市に持ってきたとき、現地処理を決めている契約に対して、違反となるだけでなく、がれきの処理費の2重払いになることが分かった。



<事実>

1)宮城県&石巻の状況

   石巻のがれきは、民間企業に委託し県内処理が始まっている。

石巻市のがれきは、すでに宮城県によって県内処理の入札にかけられ、鹿島JVによって落札されている。鹿島JVに処理を依頼しているがれきの総量は、685,4万トンでその内訳は、以下の通り。

石巻市(581万トン)

東松山市(83、5万トン)

女川町(20、9万トン)

すでにこれは、鹿島JVが、1923億6000万円で落札している。(資料1:災害廃棄物処理業務<石巻地区>の概要)



②がれきの総量の見直しと、がれきの処理量の削減

がれきの総量の見直しによって、(資料2:沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況―環境省資料)

石巻市は、 616、3万トンから445,8万トンに

東松島市は、165,7万トンから83,8万トンに

女川町は、  44,4万トンから28,6万トンに

それぞれ下方修正された。

石巻市のがれきの総量が、445,8万トンになったが、鹿島JVに依頼していたのは、581万トンであり、135,2万トン足りない。

また3市町村のがれきの総量を合わせても、558.2万トンでしかなく、鹿島JVと契約した処理量685,4万トンに127,2万トン足りない。

 この総量見直し資料が作成された時点で、宮城県が、鹿島JVとの契約を考えれば、石巻のがれきや女川、東松島市を加えた3市のがれきは、鹿島JVによる処理だけでも足りなくなる。

 したがって、この時点で宮城県は、鹿島JVとの契約を処理量と契約金の下方修正を行う必要があった。そうしなければ、鹿島JVは、契約通りのがれきの処理をしないで、契約金を得ることになる。

 (しかし6月19日現在、宮城県は契約変更を行っていない。)

 ではそうした中でなぜ、北九州に石巻からがれきが運ばれる計画が進行しているのか?石巻から北九州に回すがれきは何処にあるのか?



   宮城県の発表の中から抜け落ちた鹿島JVとの契約

がれきの総量の見直しを受けて、宮城県は今年5月21日「災害廃棄物処理対象量の見直しについて」(県受託処理分)を記者発表している。(資料3~5)この資料には、

石巻ブロックの県受託処理分の見直し前と後の数量が、

見直し前685万トン

見直し後312万トン

と記載されている。(資料4:P)

そしてこの見直し後の数値を基準にして、

「県受託量」-(「県内処理」+「県内拡大分」)=「広域処理量」

の計算式で広域処理量が算出されている。

石巻ブロックは、

再生利用12万トン、

焼却処理28万トン、

埋め立て処分33万トン、

合計74万トンと広域処理量が、記載されている。(資料5:P6~7)

しかし見直し前、宮城県は県が受託した685万トンを、そっくりそのまま鹿島JVに委託し、昨年の9月16日には、契約締結していたが、この点は、この報告書にはなんら触れられていない。

見直し前の685万トンですら、他の都道府県の広域化に頼ることなく、プロポーサル審査で、鹿島JVに委託していた。ところが、この報告書では、石巻ブロックのがれきから突然、広域処理するがれきが74万トンも作り出されるのである。これは一方で鹿島JVが処理予定している分を、他方で広域に回す分として2重カウントする状態になっている。

今回の場合、宮城県では、がれき量を大幅に下方修正しているため、鹿島JVとの契約を前提としても、鹿島JVが処理できる量は、下方修正される。そのため、契約変更が不可避である。そうしないと鹿島JVにそのまま予定の契約金1923億6000万円を支払うことになる。

ところが、今回は鹿島JVに委託していたがれきを二重にカウントして、その分を北九州他に持ってこようとしていたことが分かった。

  鹿島JVは、契約処理量に満たない分は、処理することなく契約金が入ることになり、逆に県や国はその分およそ数百億円を損失するだけでなく、北九州他の自治体に運ぶ分の処理費も2重に使われることになる。

 

2)北九州の資料による石巻市のがれき

北九州市の資料は、この宮城県の資料に基づき作成されている。そのため、この資料でも石巻のがれきは、鹿島JVに委託されている点がまったく抜け落ちている。

たとえば、北九州市の「災害廃棄物の受入れの検討についてー資料1」 (平成24年5月1日)(資料6)によれば、

「2石巻市の災害廃棄物の処理の状況」として

災害廃棄物の量「推計616万トン」と記載し、

石巻ブロックで広域処理が必要な量は、294万トンと記載されている。

ここでも616万トンの大半(580万トン)は、鹿島JVが落札している点の記載がなく、広域化するという294万トンは、2重カウントされている。

またその後6月に発行した北九州市のパンフレット(資料7)によれば、石巻市の312万トンを宮城県が処理を受託し、

そのうち73万トンを広域処理に回そうとし、

さらにそのうち28万トンが、可燃物であり、

この28万トンが北九州の処理の検討対象になるとしている。

このパンフレットは、見直し後に作られたものであるが、宮城県の作成資料をそのまま点検なく作成し、すでに鹿島JVに処理委託しているがれきを北九州に運ぶ計画にしている。



<問題指摘>

 1) 事実確認

 北九州市の資料には、広域処理を予定しているがれきは、現在(H24年6月)でも73万トンあり、その内可燃物は、28万トンあるとなっている。しかし宮城県では、石巻ブロックのがれきは、鹿島JVに落札され、しかもがれき処理量が大幅に下方修正されている中では、広域化に回す分は、計算上はない状態になっている。



2) 問題点 

その上で、北九州に石巻市からがれきを持ってくるとすれば、次の問題がある。

  鹿島JVに処理依頼する量に穴が空く。

  北九州市に持ってくる分は、税の二重投資になる。

  しかも北九州市は、処理費が高くなる。       以上。

★記者会見には各報道機関が取材しましたが、記者会見の内容はおろか、市民が記者会見を開いたことすら報道されませんでした。
このような重大な事実をなぜ報道しないのかメディアに是非聞いてください。

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